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西 宏
Fusion Engineering and Design, 81(1-7), p.269 - 274, 2006/02
被引用回数:4 パーセンタイル:30.64(Nuclear Science & Technology)拡散接合継手のシャルピー衝撃試験の吸収エネルギーが小さい原因を明らかにするため、ステンレス鋼とアルミナ分散強化銅の直接拡散接合継手と金インサートを用いた拡散接合継手について、接合界面部に切欠きを付けた試験片の計装化シャルピー衝撃試験と静的3点曲げ試験を行い、その破壊挙動を比較した。また、有限要素法により引張りとシャルピー試験片の弾塑性解析を行い、両試験片の変形特性の相違を検討した。その結果次の結果を得た。衝撃試験と静的曲げ試験結果は等しく、接合継手の吸収エネルギーの低下は、最大曲げ荷重の低下により起こる。これは、接合継手曲げ試験片の切欠き底では両材の応力-ひずみ特性が異なるため、低強度部材のアルミナ分散強化銅界面近傍に変形が集中するためであり、シャルピー吸収エネルギーの低下は切欠き底の変形が一様でなく、局部的に集中するために起こる。
斎藤 滋; 深谷 清*; 石山 新太郎; 雨澤 博男; 米川 実; 高田 文樹; 加藤 佳明; 武田 卓士; 高橋 弘行*; 中平 昌隆
Journal of Nuclear Materials, 307-311(Part2), p.1573 - 1577, 2002/12
被引用回数:2 パーセンタイル:16.96(Materials Science, Multidisciplinary)国際熱核融合実験炉(ITER)の真空容器は、炉心の中心構造体としてブランケット,ダイバータ等の炉内機器を支持し、超高真空を保持するなどの機能が求められている。また、トリチウム閉じ込めの第一隔壁として安全設計上最も重要な機器と位置づけられている。本研究では実機への適用が検討されているSUS316L母材及び溶接継ぎ手(TIG,TIG+MAG及びEB溶接)について、JMTRを用いた中性子照射試験及び引張り試験やシャルピー衝撃試験などの照射後試験を行い、材料の機械的特性に与える中性子照射の影響を調べた。その結果、母材、TIG及びEB溶接継ぎ手については0.2~0.5dpaの照射後も十分健全性は保たれていた。しかしTIG+MAG溶接継ぎ手はシャルピー衝撃値等が極めて低く、実機への適用は困難であると考えられる。
山岡 弘人*; 土屋 和之*; 阿波野 俊彦*; 岡 潔
石川島播磨技報, 42(5), p.260 - 264, 2002/09
国際熱核融合実験炉(ITER)の主要構造部材の交換保守のため、YAGレーザを用いた配管の遠隔切断・溶接システムの製作及びモックアップテストを実施した。製作したシステムはSUS316L, 100ASch40配管を内面からアクセスして切断後、そのままの開先に対して新規交換配管を芯合わせし、自動制御にて再溶接を行うものである。本稿では(1)平板等での予備試験結果、(2)得られた加工裕度範囲をもとに設計・製作したシステムの概要、(3)テストスタンドを利用した芯合せ結果及びモックアップによる加工試験結果について報告する。平板の溶接試験によりギャップ0.8mm、目違い2mmまでは継手として許容できることがわかり、要求寸法から切断面粗度を含めてこの範囲内までに芯合わせが可能であるよう保守ツールのモータ引付け駆動力を選定した。テストスタンドを利用した芯合わせ試験にて、要求寸法制約である配管ギャップ50mm、ずれ量10mmから上記裕度範囲内に芯合わせが可能であることがわかった。最終的にモックアップ試験により配管切断・芯合せ・再溶接の一連のプロセスを遠隔にて実施し、良好な再溶接継手が得られることを確認できた。
斎藤 滋; 大内 伸夫; 石山 新太郎; 土屋 佳則*; 中嶋 秀夫; 深谷 清*
JAERI-Tech 2002-048, 68 Pages, 2002/05
超伝導加速器や核融合炉の超伝導コイルなどの極低温機器には、目的に応じてさまざまな材料が使用されるため、複数の異材継ぎ手が必要とされる。核融合炉の超伝導コイルの場合、純チタンと極低温用ステンレスの継ぎ手が必要であるが、溶接による接合は困難である。従って、新しい接合技術の開発が必要であり、原研では熱間等方加圧(Hot Isostatic Pressing; HIP)法による接合技術の開発に着手した。HIP法は接合強度や寸法精度に優れ、立体面や大型機器の接合も可能である。本研究ではHIP法による純チタンと4種類の極低温用ステンレスの接合試験を行い、組織観察や曲げ・引張り試験等による最適HIP条件の選定を行った。さらに4K及び室温における接合強度と熱サイクル試験による接合の健全性の評価を行った。
西 宏; 衛藤 基邦; 橘 勝美; 小泉 興一; 中平 昌隆; 高橋 弘行*
Fusion Engineering and Design, 58-59, p.869 - 873, 2001/11
被引用回数:2 パーセンタイル:19.6(Nuclear Science & Technology)ITERの真空容器は2重壁構造を採用して2重壁内側からの溶接ができないため、不溶着部を有する構造となる。本研究では、ITERに採用予定の部分溶込み溶接継手について、継手や溶接金属の疲労試験より疲労特性を明らかにするとともに、有限要素法による継手部の弾塑性応力解析を行い、破壊力学的手法を用いた疲労寿命の予測を行った。得られた結論は以下の通りである。(1)不溶着部はき裂と同様な挙動を示し、溶接継手の疲労寿命の大部分はき裂伝播寿命であった。(2)継手の疲労き裂伝播速度はき裂発生時に加速する。これは不溶着部を切欠きと考えたときの切欠き効果と考えられる。(3)溶金のき裂伝播速度から破壊力学的手法を用いて継手の疲労寿命を予測できる。(4)不溶着部の長さが短くても不溶着部は継手の疲労強度を大きく低下させる。
西 宏; 衛藤 基邦; 橘 勝美; 中平 昌隆
Transactions of 16th International Conference on Structural Mechanics in Reactor Technology (SMiRT-16) (CD-ROM), 8 Pages, 2001/08
ITERの真空容器は2重壁構造を採用し、不溶着部を有する構造となる。本研究では、ITERに採用予定の部分溶込みを有するT継手(外壁とリブ)と突き合わせ継手(外壁と外壁)について、継手や溶着金属の疲労試験を行い、疲労寿命や疲労き裂伝播速度を明らかにした。また有限要素解析を用いて両継手不溶着部の応力拡大係数範囲を計算し、継手と溶着金属の疲労き裂伝播速度を比較した。さらに破壊力学的手法を用いて継手の疲労寿命を計算し、不溶着部の長さが変化したときの疲労強度を予測した。その結果、以下のことがわかった。いずれの継手の不溶着部も先端が鋭くき裂と同様に挙動し、溶着金属部へ伝播する。したがって継手の疲労強度は不溶着部を持たない母材に比べ非常に低下する。また、継手と溶着金属の疲労き裂伝播速度は応力拡大係数範囲で整理でき両者は良く一致し、破壊力学的手法に基づい手計算した継手の疲労寿命は実験より得られた疲労寿命と良く一致する。さらに継手の不溶着部の長さが短く(1mm)なっても疲労強度は母材に比べ大きく低下する。
斎藤 滋; 深谷 清; 石山 新太郎; 雨澤 博男; 米川 実; 高田 文樹; 加藤 佳明; 武田 卓士; 高橋 弘行*; 小泉 興一
JAERI-Tech 2001-035, 81 Pages, 2001/06
国際熱核融合実験炉(ITER)の真空容器は、炉心の中心構造体としてブランケット、ダイバータ等の炉内機器を支持し、超高真空を保持するなどの機能が求められている。また、トリチウム閉じ込めの第一隔壁として安全設計上最も重要な機器と位置づけられている。しかし二重壁という特殊な構造のため、健全性の評価にあたっては従来の規格・基準が適用できない部分がある。原研では、このような特殊な構造に適用できる設計の基準案の整備とそれを裏付ける技術データの取得作業を行っている。本報告書ではそれらの中の一つである、溶接継ぎ手の中性子照射効果を明らかにするため、JMTRを用いてSUS316L母材及び溶接継ぎ手(TIG,TIG+MAG及びEB溶接)の中性子照射試験及び引張り試験やシャルピー衝撃試験などの照射後試験を行い、材料の機械的特性に与える照射の影響を調べた。
林 眞琴*; 大城戸 忍*; 森井 幸生; 皆川 宣明
Materials Science Research International, Special Technical Publication, 1, p.418 - 423, 2001/05
中性子の進入深さは、X線に比べ大きい。ステンレス鋼の配管等では10mm厚の管壁は十分に測定可能である。そのため、中性子回折法により応力腐食割れ、疲労き裂進展の応力による変化を求め寿命予測を行うことができる。日本では、このような目的研究を含んで、日本原子力研究所のJRR-3M原子炉中に残留応力解析用中性子回折装置が設置され研究が進展している。ここでは、今まで行われてきた研究として、弾性定数の指数依存性に伴う弾性定数の求め方、き裂進展に伴う応力再分配の測定,集合組織を持つ材料で作られたアルミニウム冷やし填め試料の残留応力評価方法について発表する。
槇 彰; 佐本 寛孝; 田口 克也; 佐藤 武彦; 清水 亮; 庄司 賢二; 中山 治郎
JNC TN8410 2001-012, 185 Pages, 2001/04
本資料は、平成13年3月14日に日本原燃(株)六ヶ所事務所にて開催した「第三回東海再処理施設技術報告会」の予稿集、OHP、アンケート結果を報告会資料としてまとめたものである。東海再処理施設技術報告会は、これまでに2回開催されており、第一回は「東海再処理施設の現状、今後の計画」について、第二回は「東海再処理施設の安全性確認作業」について、東海再処理施設においてこれまでに得られた技術・知見等を紹介してきた。今回第三回は、「東海再処理施設の腐食・ISIに関する実績と今後の計画」について東海再処理施設においてこれまでに得られた技術・知見等の報告を行ったものである。
西 宏; 荒木 俊光*
Journal of Nuclear Materials, 283-287(Part.2), p.1234 - 1237, 2000/12
被引用回数:17 パーセンタイル:71.94(Materials Science, Multidisciplinary)ITERの第一壁等に用いられる予定のアルミナ分散強化銅(DS Cu)とステンレス鋼の接合継手は熱応力や電磁力を受けるため、疲労強度の評価が重要である。そこで両材の直接拡散接合継手と金インサート拡散接合継手について低サイクル疲労試験を行い、次の結論を得た。(1)直接拡散接合継手では試験片は低ひずみ範囲で接合界面より破断し、疲労強度はDS Cuより低下する。これは界面にできた再結晶層や金属間化合物が原因である。(2)金インサート継手では界面破断はなくなり、直接接合継手に比べ疲労強度は大きく増加し、DS Cu母材の疲労強度が得られた。(3)ステンレス鋼とDS Cuの変形抵抗の大小関係はひずみ範囲により異なるため、疲労試験片のひずみ分布もひずみ範囲により異なる。このため試験片の破断箇所はひずみ分布に依存し、ひずみ範囲により異なる。
加藤 猛彦*; 浅山 泰
JNC TN9400 2000-047, 114 Pages, 2000/03
溶接時に生じる残留応力を、汎用有限要素コードにより予測することができれば、FBRプラントの強度評価、余寿命評価の信頼性の向上に大きく寄与することができる。本研究では、FINASを用いて残留応力解析を行う手法を検討した。まず、簡易モデルを用いてパラメータを振って予備解析を行い、基本的な手法を提案した。本手法の要点は以下の通りである。(1)熱伝導解析は、予め層数分のモデルを作成しておき、順次データを受け渡す。(2)母材および溶接金属の構成則は多直線近似を用い、硬化則は等方硬化則とする。(3)金属の溶融状態は、応力が発生しないようにユーザサブルーチンで制御する。(4)入熱時の溶接金属の線膨張率は、零と置く。次に、本手法を用いて、狭開先TIG溶接を想定した5層の平板突合せ継手および管の突合せ継手の残留応力を予測し、既往研究結果と比較した。両者は良く一致し、本提案手法の妥当性を確認することができた。
門馬 義雄*; 山崎 政義*; 永江 勇二; 加藤 章一; 長谷部 慎一; 青砥 紀身
JNC TN9400 2000-044, 22 Pages, 2000/03
高速炉プラントの新構造材料および寿命診断技術の開発では、従来強度評価の補強資料として定性的理解のみに用いられてきた材料組織の微視的観察結果とその分析データを定量的に把握し、組織変化が材料特性におよぼす効果あるいは相関性を評価する手法の確立が必要である。特に炉心構造健全性を保証するために、溶接継手部における高温長時間強度特性と組織変化の関係を明らかにする技術開発のニーズが高い。このため、高速炉容器の溶接金属について、クリープによる組織の経時変化を定量化する技術に取り組んだ。本研究では、まず高速炉容器用に開発された316FR鋼を母材として、16Cr-8Ni-2Moおよび共金系(18Cr-12Ni-Mo)の溶接金属のクリープ試験を823および873Kで行い、37,000hまでのクリープ破断データを取得することにより、そのクリープ特性を明らかにした。さらにクリープ破断した試験片平行部の組織観察を行い、析出物の面積を定量化し、その経時変化とクリープ損傷の対応についての検討を行った。溶接金属のクリープ強度は高応力短時間側で16Cr-8Ni-2Mo系が共金系よりも小さいが、低応力長時間側では16Cr-8Ni-2Mo系と共金系のクリープ強度が同等になる傾向がみられた。また、クリープ破断延性は16Cr-8Ni-2Moの方が共金系よりも優れていることがわかった。さらに、溶接金属の823Kでの低応力長時間および873Kではフェライト中に析出した相界面に発生する割れがクリープ破壊の起点となることを明らかにした。16Cr-8Ni-2Mo系溶接金属の析出量はいずれの温度時間においても共金系溶接金属よりも少ない。析出物の変化はマグネゲージで測定した残留フェライト量の変化と良く対応しており、フェライト量が時間の経過と共に減少するのに伴い、析出量は増加することを明らかにした。16Cr-8Ni-2Mo系溶接金属のクリープ破断材平行部の析出量とクリープ破断時間(対数)との関係をLarson-Millerパラメータ(LMP)で整理すると、1次式で表すことができ、この式から16Cr-8Ni-2Mo系溶接金属の析出量の予測が可能になった。
本岡 隆文; 木内 清
JAERI-Research 99-031, 21 Pages, 1999/04
大型再処理施設に使用されるジルコニウム製の再処理機器の長期耐久性評価の観点から、沸騰硝酸溶液中で応力腐食割れ感受性を持つジルコニウムについて、TIG溶接継手の疲労き裂進展挙動を熱影響部(HAZ)中心に評価した。疲労き裂成長速度を沸騰硝酸溶液中と室温大気中で測定したほか、走査型電子顕微鏡による破面観察も実施した。室温大気中に比べて沸騰硝酸溶液中では疲労き裂成長速度が一桁高くなった。硝酸溶液中で試験した試料の破面は、脆性ストライエーション及び擬劈開型であった。母材、溶接金属及びHAZの疲労き裂成長速度の測定結果の比較から、硝酸溶液中では大気中に比べて、いずれもき裂の成長は加速されるが、その速度は同程度であることがわかった。
瓜生 満; 篠原 孝治; 寺田 修司; 山崎 敏彦; 富田 恒夫; 近藤 俊成*
JNC TN8430 99-004, 64 Pages, 1999/03
免震建物を採用する場合、建物の上部構造と下部構造には、地震時に相対変位(応答変位)が生じるため、両間を渡る渡り配管は、その変位吸収策として伸縮管継手等を組み合わせた配管系が採用されている。しかし、原子力施設の設計に用いるような大規模想定地震(設計用限界地震における加速度約500gal、応答変位量約30cm)に対応した渡り配管の使用実績はなく、また、このような地震下での実物大配管モデルによる耐震性評価の実施例もなかった。本試験は、平成8年11月から同年12月にかけて三菱重工業株式会社技術本部高砂研究所の振動台試験機を用いて実物大の配管配置寸法に基づく渡り配管の耐震性確証試験を実施するとともに、試験結果と本試験体をモデル化したシミュレーション解析結果について比較評価を行い、シミュレーション解析モデルによる評価の妥当性を確認することができたので、それらについて報告する。
橘 勝美; 西 宏; 衛藤 基邦; 武藤 康
JAERI-Tech 99-024, 65 Pages, 1999/03
高温工学試験研究炉の中間熱交換機や配管のライナーなどの高温構造物に使用されているNi基耐熱合金ハステロイXRについて、母材、TIG溶接継手、及び溶接金属の大気中クリープ(破断)試験を950Cで行った結果、以下の事項が明らかにされた。(1)溶接継手のクリープ破断強度は短時間側では母材と同等であるが、1000hを超えると母材よりも低くなる。この原因は、溶接金属のボロンが濃度勾配により母材へと拡散したためと考えられる。(2)溶接金属のクリープ破断強度は、短時間側では母材よりも僅かに高めであるが、2000hを超えると低下する傾向が認められる。これも溶接金属に含まれるボロンの影響として説明できる。(3)溶接金属強度の方向差については、破断時間に関してはビードと直角方向の強度がビード方向の強度よりもやや高いが、差は僅かである。しかしクリープ変形速度に関しては、明瞭に差が認められ、溶接線に対して直角方向の伸びが大きい。(4)高温時効の影響は、溶接継手に対しては認められるが、溶接金属については明瞭に認められない。高温時効による強度の低下が継手ほどでないのは、濃度勾配がないためにボロンが拡散し難かったためと説明できる。
竹内 正行; 永井 崇之; 石橋 祐三; 武田 誠一郎; 根本 健志*; 藤咲 和彦*; 大橋 和夫*
PNC TN8410 98-116, 147 Pages, 1998/08
(1)目的熱間圧延法、HIP法,爆接法により製作した管継手を酸回収蒸発缶小型モックアップ試験設備へ装着し、長期信頼性の評価を行う。(2)方法酸回収蒸発缶小型モックアップ試験設備のプロセス系(硝酸凝縮液、濃縮液、供給液ライン)とユーティリティ系(計装用圧空、加熱用蒸気、冷却水ライン)に、管継手試験体を装着し耐久性試験を行い、中間検査として、耐圧試験、染色浸透探傷試験、外観観察、破壊検査を行った。(3)結果【1】熱間圧延管継手については、プロセス系の濃縮液および供給液ライン、ユーティリティ系の計装用空気、加熱用蒸気、冷却水ラインに装着した試験体は、約21,000時間の耐久性試験を行っても健全な状態を維持していた。しかし、プロセス系の硝酸凝縮ラインに装着した試験体は、耐圧試験において漏れが認められた。【2】HIP管継手については、プロセス系の濃縮液および供給液ライン、ユーティリティ系の計装用空気、加熱用蒸気、冷却水ラインに装着した試験体は、約18,000時間の耐久性試験を行っても健全な状態を維持していた。しかし、プロセス系の硝酸凝縮液ラインに装着した試験体は、耐圧試験中に破断が認められた。【3】爆接管継手については、すべての装着位置において漏れおよび破断等は認められなかった。しかし、プロセス系の硝酸凝縮液ラインに装着した試験体は、ステンレス鋼側に肌荒れが認められた。以上、中間検査の結果から、再処理プロセスへ適用する場合、ユーティリティ系(計装用空気、加熱用蒸気、冷却水ライン)は、十分適用が可能と考えられる。プロセス系では、硝酸凝縮液のようにステンレス鋼にとって厳しい試験環境では、適用が困難と考えられる。しかし、濃縮液および供給液の温度の低い環境であれば、適用可能と考えられる。
星屋 泰二; 近江 正男; 松井 義典; 西川 雅弘*
Journal of Nuclear Materials, 258-263(PT.B), p.2036 - 2040, 1998/00
被引用回数:13 パーセンタイル:70.9(Materials Science, Multidisciplinary)遠隔操作及び補修技術の観点から要素迅速交換技術として形状記憶合金を利用した応用技術が着目されている。しかしながら、同合金の照射挙動に関するデータは少なく、同合金を利用した継手の締結機能に及ぼす中性子照射効果には不明な点が多い。高速中性子照射量1.410mまで照射したTi-Ni系形状記憶合金及び合金継手試料の照射後引張、衝撃試験、継手内径測定試験を実施した。323Kで照射した継手試料の加熱冷却時に生じる温度履歴は503Kで照射した同試料の履歴の1.5倍であり、これは照射による変態温度低下及び変態温度区間の拡大に起因する。二方向継手試料では、内径の可逆変化量は照射により減少したものの、未照射試料の変化量の7割を保持した。二方向付けのために同合金継手に導入された応力場は、照射により生ずる残留歪と密接に関連し、照射効果が低減したと予想される。
青砥 紀身; 天藤 雅之; 木村 英隆; 堀切 守人; 小峰 龍司; 平川 康
PNC TN9420 97-007, 786 Pages, 1997/06
高速増殖原型炉-もんじゅ-2次主冷却系Cループ中間熱交換器(IHX)出口温度計からのナトリウム漏えい事故における熱電対ウェル損傷部(ウェル段付部の破断部)以外を対象とした調査報告である。調査は、熱電対ウェルと管台、および管台と配管溶接部廻りの健全性の確認として、主に溶接欠陥または隙間腐食による熱電対ウェルの破損の可能性、ならびにナトリウム漏えい量評価上の支配寸法、漏えい経路等における情報を得る目的で種々の試験検査を実施した。試験検査は、当該温度計の熱電対ウェル破断部を除く部分の温度計、ウェル、ウェル-管台溶接部および管台-配管溶接部等で、以下に示す通りである。 (1)精密寸法計測 (2)温度計-ウェルの固定状況把握のための試験検査 (3)残留応力測定 (4)各部非破壊検査 (5)成分分析 (6)溶接部の金属組織観察 (7)硬さ試験 (8)隙間腐食に関する調査 (9)ウェルの強度特性試験 (10)シース高温曲げ試験(破断部を除く部分)
渡辺 勝利; 浜田 省三; 古平 恒夫; 菱沼 章道
ASM Conference on Welding and Joining Science and Technology, p.615 - 619, 1997/03
中性子照射環境下で用いられたことにより劣化した炉材料の補修には溶接技術が必須であると考えられている。本研究では、高速炉「常陽」で照射を受けた316ステンレス鋼ラッパー管を用いて、溶接性に及ぼすヘリウムの効果を検討した。得られた結果は(1)照射した溶接継手は非照射の溶接継手に較べて著しい延性低下を生じた。(2)非照射の溶接継手では溶接金属部において延性破壊したのに対して、照射した溶接継手では熱影響部のボンド部近傍において粒界脆性破壊を生じた。(3)このような粒界脆性破壊は粒界におけるヘリウム気泡の形成と密接に関連しているものと考えられる。
渡辺 勝利; 新藤 雅美; 中島 甫; 小池上 一*; 樋口 洵*; 仲西 恒雄*; 佐平 健彰*; 丸七 香樹*; 竹入 俊樹*; 斉藤 貞一郎*; et al.
JAERI-Research 97-009, 62 Pages, 1997/02
HTTR実機用ハステロイXR伝熱管材および実機用溶加材を用いて、伝熱管母材および溶接継手の引張特性およびクリープ特性を検討し、次のような結果を得た。引張特性に関しては、時効後の室温における強度変化は母材および溶接継手材ともに比較的少なかったが、著しい延性低下が両者ともに観測された。一方、クリープ特性に関しては、母材と溶接継手材について、900Cおよび950Cのいずれの場合にも、クリープ破断強度に関する差異は比較的少なかった。他方、板材と伝熱管材のクリープ特性について見ると、母材および溶接継手材ともに、管材は低応力・長時間側で板材よりもクリープ破断時間が若干低下する傾向が見られたが、管材のクリープ破断時間は、ハステロイXR母材のマスターカーブと同等以上であり、設計破断応力強さ[S]よりも充分に長いことから、実用上は特に問題ないと判断される。